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全ての風呂はローマ(と日本)に通ず

ヤマザキ・マリさんの「テルマエ・ロマエ」という漫画を読んだ。
表紙の絵が手拭と風呂桶を持った全裸(男性のアレもはっきりと描かれた)の彫刻で、その絵に度胆を抜かれて、帯の
「古代ローマの男、現代日本の風呂へタイムスリップ!」
という謳い文句に引かれ購入。
簡単な内容は、ローマのハドリアヌス帝の時代、時代遅れの公衆浴場に情熱を燃やす設計技師、ルシウス。
自分の情熱を理解してもらえず、悩んでいる折に入ったローマの公衆浴場で、なぜか現代日本の銭湯にタイムスリップ。
そこで見た銭湯のアイディア、風光明媚な壁画を描く、催し者のポスターを壁に貼る、風呂上りに飲む冷たいフルーツ牛乳の美味さ、などに感動し、戻ったローマでそれを実行したら大うけ。そして、その後度々、何か風呂のアイディアに詰まると、なぜか日本、しかも絶対に風呂(露天風呂、地熱を利用したオンドル)にタイムスリップし、それをローマに持ってきて、それが大うけする、というパターン。
「世界に名だたる勢力を誇ったローマ人も、日本の風呂の素晴しさには驚愕・感服」
というのが繰り返されるのは、ちょっと、立派なもの・優れたものは自分たちの起源を主張するどこぞの国の人たちの姿がちらついたけど(爆)、主人公のルシウスさんの可愛さによってそれはなくなった。
ルシウスさんはとにかく、お風呂が好きで、お風呂のことばっかり考えてる。で、とにかく真面目。タイムスリップした先で見た日本の風呂のアイディアも、驚くばかりじゃなくて、真面目に、真面目すぎるくらい分析。そこがちょっと間抜けで可愛い。
それに、自分が日本から持ち帰ったアイディアがローマで成功しても、
「あれは私の独自のものじゃない」
と罪悪感感じてるあたりも可愛い。
仕事に夢中になって、家を三年留守にして嫁に逃げられてるなんて、可愛すぎる。
下世話な言い方かもしれないけど、ルシウスさん萌えです。
それに、偉そうな言い方で恐縮だけれど、良くも悪くも、ヤマザキさんも狙ってるんだろうけど、「ぬるま湯感覚」の力の抜けた漫画で、あんま難しいこと考えずに読めたのがよかった。
私は古代ローマについてよく知らないけど、きちんと調べてあるんだろうな、というのが解る描写もちらほら。
「チェーザレ」てルネサンスのイタリアを舞台にした漫画を描いてる惣領冬実さんが、後書きや自分のサイトでで、服のベルトを描くのや街の俯瞰図を描くのにも色んな絵や資料をあたったことを書いてるけど、多分、ヤマザキさんも勉強なさってるんだろうなあ。
字だったら
「豪奢な衣装に身を包んだ」「荘厳な石造りの神殿の圧倒される雰囲気」
とかで誤魔化せるけど、絵だと細部まで描かないといけないもの。
それが、見ている上で邪魔にならないけど、かといって単なる思い付きを描いただけのつまんない漫画にしていない点だと思う。
ただ、まだ一巻読んだだけど、これからずっと、
「ルシウスさん風呂のアイディア詰まる→日本の風呂にタイムスリップ→ローマ帰って日本の風呂のアイディア大うけ、それに悩むルシウスさん」
てパターンがずっと続くと、ちょっと飽きてくるかも(偉そうですいません)
不定期連載だったのが、連載ものになるらしいですけど、どんな展開になっていくのか、不安と楽しみでいっぱい。
ヤマザキさんのブログ(こちら)を除くと、風呂だけじゃなくて、古代ローマと日本の比較文化の漫画にしていくつもりだとか。
漫画は編集さんとの兼ね合いもあるのでどうなるか解りませんが、ルシウスさんの純粋さと可愛さは変わらないといいです。
by volontaire | 2010-03-13 17:57 | 本の感想
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